書籍の紹介 苦悩の散歩道

  • 2015年02月24日

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この本は1996年に、出版された世界最高レベルのプロゴルファーの人間ドラマを描いたノンフィクションです。
私がこの本を読んだのは、レッスンプロとして駆け出しの時で、プロゴルファーとはこんなに過酷な職業であると強く印象づけられたのを今でも覚えています。
ゴルフほど浮き沈みの激しいスポーツはありません。
パットひとつ入らなかっただけで何百万円もの賞金が消えたり、ツアーの出場権がなくなったりします。

著者のジョン・フェインステインはスポーツ・ジャーナリストとしてある疑問の答えを知りたくゴルフを取材し、この本を書いたそうです。
その疑問とは、ラリー・ワドキンスがUSPGAツアーで21勝を挙げているプロゴルファーであるが兄弟のボビーは1勝も挙げていない!
ところがこの2人のスイングを見たら全く見分けがつかない

トム・ワトソンは、75年から83年にかけてほぼ無敵の存在で8つのメジャーを制覇したが34歳という絶頂期に突然、勝てなくなってしまった

トム・リーマンは30歳でプロ生活を諦め大学のゴルフコーチになるつもりだった。ところが35歳になってベストプレーヤーの1人になっている

このようなプロゴルファーの努力、鍛錬、不運、苦労、挫折を目の当たりにして著者は、苦悩の散歩道という言葉がタイトルとして浮かび上がったのでしょう

そしてその答えはこの本では結局出ていませんし、もしその答えがわかったのであれば、
3年前まで世界最強で今現在勝つ事が出来ず悩んでいるタイガー・ウッズやまだ未熟で今より身体も出来上がっていない時に9勝もしてただいま試行錯誤の真っ最中の石川遼はすぐに復活する事ができるでしょう。そこにゴルフが苦悩の散歩道たる所以があり、また魅力があるのではないでしょうか。

そして最後にこの本の内容の中で、私の好きなお話を紹介いたします。
それは、1993年ライダーカップ(アメリカ対ヨーロッパの賞金のない名誉をかけた2年に一度の対抗戦)の戦いのエピソードです。名誉と名誉のぶつかり合い、時にグリーン上で殴り合いの喧嘩もあったというくらいの歴史のある大会です。デービス・ラブⅢはメジャー大会でもプレッシャーを感じない強靭な心臓をもっていると自負していたそうですがこの試合のティーショットの前に妙な違和感を覚え、打った後プレッシャーのあまり吐いたそうです。

この年、勝ったのはアメリカでキャプテンがトム・ワトソンでした。
ワトソンは閉幕式で言う事は、何週間も前から決めていました。勝っても負けても。
彼が数年前にセオドア・ルーズベルトの有名な演説「マン・イン・ザ・アリーナ」から抜粋を読んで非常に感銘を受けたのです。
「ゴルフは孤独なスポーツだが、ライダーカップではチームの一員であるという部分が大きい。共に戦い抜いた事で培った友情は決して消える事はない」
だから、勝者のキャプテンとしてライダーカップを贈られた時、ワトソンはルーズベルトの言葉を読んだのです。

「価値ある人とは、批評家ではない。強いものがいかにつまづいたか、あるいは、もっとうまくできたことを指摘するものでもない。栄誉とは、実際に闘技場にいた人々のものである。その顔は汗やほこりや血で汚れているだろう。勇敢に戦うだろう。何度も何度も過ちを犯し、力も及ばないだろう。素晴らしい熱意を持ち、献身し価値ある目的に全力を尽くすだろう。たとえ失敗しても素晴らしい成果を生む。勝利も敗北も知らぬ、冷たく臆病な人々には到達しえない場所なのだ。」

競技ゴルフを目指す方、ゴルフと真剣に向き合いたい方、ゴルフが大好きな方、この本を読んでみてください!!


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