書籍の紹介 古今 ゴルフ名語録選集 摂津 茂和
- 2015年02月24日
今日は書籍の紹介です。
英米では昔からゴルフのアンソロジー(名言集)がかなり出版されています。
この本の著者、摂津茂和氏が2年近くかけて、丹念にこつこつと所蔵する内外のゴルフ書3千冊の中から、強く感銘を受けた秀抜な語録を140例選択し、それぞれ作者の姓名と原典を注釈とを加えてようやく書きあげたのが、この「古今ゴルフ名語録選集」です。
摂津茂和氏はゴルフ史家として第一人者、ゴルフ書籍のコレクターとしても世界的に著名な方です。
いまや、本屋にいっても技術書しか置いていない事が多い中、ゴルフを通じた心理や世界観を書いた本が少なくなっているように思います。
摂津茂和氏自身も、ゴルフの技術と心理面の指導に編重されているのに反し、
語録集には、何らの制約もなく広くゴルフにかかわり万般にわたり、散発的に感じる個人独自の見解による毀誉褒貶(きよほうへん)、抱負、失望、風刺、慨嘆、諧謔、憎悪、発奮、哲学、心理学、医学、冷徹、罵倒、ブラック・ユーモア、示唆、挫折、パロディ、逆説、希望など全てを極め、読者の批判にわかせているのが語録本来の最大の魅力であり、妙味であると語ってます。
その中で本の中の一説を紹介しておきます。
アウト・オブ・バウンズの規則はイギリスにはなかった。これを最初に規則としたのはアメリカのチャールズ・マクドナルドで、その後R&Aも追従して採用した。これはアメリカの最大の功績である
ヘンリー・ロングハースト(1909-78)
ゴルフ評論家ヘンリー・ロングハーストはアメリカ嫌いで有名でした。
アメリカを嫌う理由は4つ
1、18ホールに4時間もかけるスロー・プレー(当時イギリスではマッチプレーが主流)
2、ゴルファーが乗る小型電動カート
3、ゴルフの機械化
4、幼稚でキザな運動帽
5、ウェッジの発明
(全て今ではイギリスでも主流ですね!)
そしてもう一人チャールズ・マクドナルド(1856-1932)については、セント・アンドリュースでゴルフを覚え、第1回全米アマに優勝して、ニューヨーク近郊のロングアイランドに最初本格的なナショナル・ゴルフ・リンクス・オブ・アメリカを設計造成するとともに、USGAの創立に参与して規則委員会の立法者となった人物です。
当時イギリスにはアウト・オブ・バウンズの規則はなくクラブハウスの屋根の上に乗ったボールをそのまま打ったり、40フィートもある古城の高いてっぺんからボールを打った記録さえあるが、マクドナルドがこの不合理に目をつけてアメリカのゴルフ規則に初めて取り入れたのは、さすがに慧眼(けいがん)な識見といわなければならない。
またアメリカ嫌いのロングハーストがあえてこれを称賛したのもえらい。
ゴルフは、イギリスの保守とアメリカの改革の常にせめぎあいの中、今のゴルフがあるとこの文章を読んで、理解できますね!