書籍の紹介 もう、ゴルフは懲りごり クリス・プラムリッジ著 夏坂健訳

  • 2015年03月02日

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今日は、書籍の紹介!
著者クリス・プラムリッジは、イギリスのゴルフ・ジャーナリスト。メジャー観戦記を書くかたわら、ゴルフにつきまとう不運、災難、怪事件をひたすら漁り続ける風変わりな史家。
そしてその訳者が夏坂健。
エッセイスト、翻訳家、ノンフィクション作家のほか、ゴルフのトップアマチュア選手の顔も持ち、いろいろなゴルフのエッセーを書いている方です。

コースで発生した奇想天外な出来事を面白おかしく描いているこの本は、ゴルフの新しい一面を見出してくれます。

その中で、ひとつご紹介したいテーマがあります。
それは、戦争とゴルフです。

よく、民主化されていない国にはゴルフ場がない!とか、民主化された国のバロメーターはゴルフ場の数であるとか、いろいろゴルフと平和と結び付けてたお話をよく聞きます。

そんな中、戦争の最中、ゴルファーという人種の非常時での生態とはどのようなものでしょうか。そしてどのように立ち振る舞いをしていたかを書いてある記述があり、そのいくつかの部分をご紹介いたします。

第2次大戦時、ドイツ軍捕虜収容所に5年間拘束されていたイギリス人パット・ワード・トマスは、金網からナチス将校が投げてよこしたヒッコリーシャフトの女性用クラブ1本を機にひとつのゴルフ場を収容所に造りました。

まずはクラブが手に入ると収容所の全員が一致団結!使えるものは何でも使う!靴のかかとのゴムがはがされ、丸く削られてボールの新に利用された。その上からくつ靴皮を被せて縫い合わせたが、大きさ、重さ、この2点で大論争!

収容所の全員が苦心惨澹の末にようやく完成させたボールは、現在セント・アンドリュースにあるR&Aのミュージアムに展示されているが、その直径1,62インチ、重さ1,62オンスは本物とほとんど狂いのない感動の正確さであったと記されております。

つづいて
ベトナム戦争時アメリカ人兵士たちが捕虜となり、7年間もの間独房に押し込められ一日一度のわずかな食料で栄養失調や孤独感など次々と精神に支障をきたし死んでいく中ある一人の兵士ジョージ・ホールがこの試練から生還したお話です。

彼は、わずか数平方メートルの犬小屋程度の狭い独房の中、発狂するのも時間の問題と思ったのか、故郷のホームコースをイメージし、何があろうと一日1ラウンドを本気でプレーしようと決心したのです。時間は無限にある。そうでもしないと狂ってしまうと悟ったのです。

朝起きるとまず、ジョージはスタート前のウォームアップから始め、ティーグラウンドに立ち無風快晴、曇天小雨、晴天だが右から強い風など、彼は気性に対しても妥協しなかった。

第1打、240ヤード、ジョージは故郷のホールを歩き始める。独房の中を一歩1ヤードの計算で。次の地点まで来ると、クラブの選択にじっくりと時間をかけボールのライと風向きを考え、慎重にアドレスに入る。そして滑らかなスイング。
打っては歩き、歩いては考え、グリーンにしゃがみこんではパッティング・ラインをじっく読む。
彼のそんな姿を看守たちは、「狂った人間の行動」と決めつけて、実に7年の歳月が流れた。

彼は、戦争が終わり、無事帰国するとこう言いました。
「とうとう一度もバーディがとれなかった。なぜバーディがこないのか、なぜボギーにもならなずに回ったホールの全てがパーで終わるのか、この不思議を精神科医に一度相談してみたい。4万6000ホールもラウンドしたのにバーディがとれなかった。独房の中で、私が泣いたのは、このスランプを克服できなかった時だけだ。そしていつも神にゴルフと巡り合えたことの喜びを感謝し、祈りをささげていた。もしゴルフがなかったら、私は半年で発狂していただろう。」


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